バレエ舞台【背景幕のレンタル】選び方・借り方・吊るし方~畳み方まで徹底解説! | 【自分に向いている仕事】を見つける方法

バレエ舞台【背景幕のレンタル】選び方・借り方・吊るし方~畳み方まで徹底解説!

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バレエの発表会やバレエ団の舞台公演を観に行った際に、「背景の幕」に注目したことはありますでしょうか。

よほどマニアックな人でない限り、背景幕を注意して見ることはおそらくないと思います。

 

筆者は、九州の舞台の会社で約20年間働いてきましたが、しばしば四国の業者さんから背景幕をレンタルしていました。

背景幕はバレエのシーンを物語る重要なアイテムですが、一般のバレエ教室で所有しているものではありません。

レンタル背景幕は、バレエ教室の強い味方でもあるのです。

 

そこで今回は、バレエの発表会や舞台で使われる背景幕について、幕の役割や選び方、レンタル方法やサイズ・重量、舞台での吊るし方~畳み方まで、元徹底解説していきます!

 

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バレエの舞台で使われる背景幕の大切な役割

舞台や発表会では、背景幕が使われることがあります。

背景幕があることで観客に対していろいろな説明をすることができるんです。

 

一番は「場所」の説明ですね。

今どこにいるのか、どこで起きている出来事なのか、ということを説明してくれるが背景幕の大きな役割です。

 

例えば有名な「白鳥の湖」で、白鳥がはじめて現れるシーン。

ここではたいていの場合、背景には、湖畔の風景を描いた背景幕が飾られているのではないでしょうか。

特にバレエは、会話劇とちがいセリフがありませんから、背景幕の重要さがわかるかと思います。

 

バレエの舞台で使う背景幕は、専門のレンタル業者に借りる!

では、この背景幕はどうやって用意するものなのでしょう。

 

大きなバレエ団であれば、何種類かの背景幕を所有していてもおかしくはありませんが、

小さなバレエ教室などは、背景幕は持っていませんし、第一保管する場所もないですよね。

 

じつは、舞台業界には、背景幕のレンタルを行っている業者さんがいるのです。

背景幕のレンタル業者さんは、各種さまざまな背景幕を製作し、全国各地に貸し出しているのです。

とてもニッチな業界なのですが、全国のバレエ教室の強い味方でもあるんですよね。

 

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舞台の背景幕のサイズ・重量。バレエ舞台の幕は、軽くて透明感のある仕上がり

わたしは九州の舞台の会社で働いていましたが、しばしば四国の業者さんから背景幕をレンタルしていました。

そこの業者さんは、幕の布地が軽いのが特徴で、非常に透明感のある色合いで、

私もとても気に入っていました。

 

舞台幕のサイズというのは、

ワイドが18~20m、高さが10mとかそのぐらいのビッグサイズなので、

とても重たいのです。

ですから布地自体が薄くて軽いと、扱う側も大変助かります

 

なぜ、背景幕を軽く仕上げられるのかを尋ねたことがあるのですが、

特別な染料を使っているとのことでした。

 

塗料の種類には、染料と顔料の二つがあります。

染料は粒が小さく繊維のなかまで染み渡るインクと同じ仲間です。

顔料は粒が大きく、布地の上に塗膜を作って定着する絵の具の仲間です。

 

バレエで使われる背景幕に使われているのは、染料というインクで描いてあり、

透明感があり塗膜がないので軽く仕上がるのだそうです。

 

バレエ発表会の背景幕はどう選ぶ?舞台スタッフやレンタル業者に相談 

もし、バレエの発表会で背景幕を使いたい、ということになった場合は、

まず、その教室が毎回お願いしている舞台スタッフを通してレンタル業者さんに相談します。

 

例えば、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」などの定番演目なら、

いくつかおすすめがあるはずですので、紹介してもらえます。

 

しかし、背景幕のカタログは各社であるのですが、なにぶんニッチな業界なので、

なかなかHP上にカタログを載せている業者さんってないのです。

 

もし、日程的な関係で(発表会シーズンは重なるものですよね)、

他の教室が借りているためレンタルできない、という場合は、

他の似たような情景の幕を紹介してもらいましょう。

 

たとえば、いろんな演目でオールマイティに使える背景幕というのがあります

 

くるみ割り人形の「お菓子の国」など特徴的なシーンの背景幕は他の演目では使えませんが、

「森の情景」とか、「大広間」などは、イメージの合う幕を選択することができます。

 

背景幕を選ぶときは、必ず、当日入る舞台スタッフに相談しながら選ぶことをおススメします。

 

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バレエ発表会の背景幕をレンタルする際の3つの注意点

バレエの背景幕を選ぶ時に、注意しなければならない点は大きくわけて下記の3つです。

 

1.背景幕のサイズは、使用する劇場の舞台に合うかどうか。

まずサイズの確認は重要ですよね。

レンタル業者の多くは、大きな劇場でもだいたい対応できるサイズで製作しています。

ですから、大きな劇場の場合はあまり問題ないのですが、

小さな劇場の場合はちょっと注意が必要です。

 

舞台のサイズは劇場によってまちまちです。

小さな舞台に大劇場用のサイズを飾ってしまうと、欲しい絵柄が切れて見えないだけでなく、

その背景幕が必要ないシーンで背景幕を隠すことができなくなってしまうことがあるのです。

 

例えば、1部のバレエコンサートでは要らないけど、

2部の「くるみ割り人形」では必要、という背景幕があったとします。

1部のときはどうしているかというと、

背景幕を吊った美術バトンは舞台のはるか上空まで上げて隠しています。

 

客席からは見えませんが、舞台の天井は、今見えている高さの2倍~3倍の高さがあります。

その空洞には何があるかと言いますと、使わない機材を吊ったバトン、

今必要ではない舞台幕や、吊りもののセット(例えば横断幕とか)などが収納されています。

 

巨大な電車の車両庫を縦にした感じを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

今使わない車両(つまり機材や背景幕)は、レールにのって(つまりバトンに吊って)

車両庫の中に(つまり見えない舞台の上の空間)に収納されるんです。

しかし、車両庫の大きさ(長さ)は劇場の大きさによってさまざまなので、

あまりに長い電車だとはみ出てしまいます。

 

つまり、あまりに大きな背景幕は、

収納庫からはみ出てしまう=舞台上にお尻が見えてしまうという状況になるのです。

ですから、サイズの確認はとっても重要なんです。

 

2.背景幕とセットになった袖幕やアーチ幕を吊るバトンがあるかどうか。

背景幕をレンタルする場合、セットになった「袖幕」や「アーチ幕」というものもあります。

これを使用するかしないかは、自由なのですが、使用する場合はいくつか注意が必要です。

 

まず、「背景幕」いうのは、空間の一番後ろの全面を飾る幕のことをさします。

「袖幕」というのは、それより前の上手側下手側の舞台袖に何本か吊ってある幕のことです。

 

通常の舞台では黒い袖幕が吊ってあります。

背景幕だけを飾って、袖幕は黒のまんま、というのもなんだかちょっと世界観が出ませんよね。

そこで、黒い袖幕の代わりに、背景幕と対になった絵柄で袖幕を新しく吊るのです。

 

ただ、舞台機構の問題上、袖幕の表側にもう一枚、
その絵柄の入った幕を吊ることができないのです。

 

ですから、袖幕を新たに吊りたいときは、

袖幕を吊るための美術バトンがないといけない、ということになります。

 

劇場によっては美術バトンの数が限られています。

袖を吊りたい場所にうまいことバトンがあるかどうか、

などはスタッフさんときちんと打合せする必要があります。

 

アーチ幕・一文字幕とは?

「アーチ幕」という言葉が出てきましたのでご説明します。

 

通常、舞台上と袖中を区切っている黒い幕が、「袖幕」とよばれています。

舞台上と、その上の空間(先ほどの車両庫)を区切っている幕もあります。

これを「一文字幕」といいます。

 

写真を撮るときの、縦横の比率で3:4とかありますよね?

舞台では、袖幕で額縁の横幅を決め、一文字幕で額縁の縦幅を決めているのです。

 

この高さを決めている一文字幕も通常は、黒一色です。

さきほどと同じで、世界観を統一したい場合に、この黒の一文字幕も絵柄に変えましょう、

という考え方でアーチ幕を利用したりします。

 

森の情景の背景幕をレンタルした場合に、

セットになった袖幕やアーチ幕は、木々の絵柄が描いてあるのですが、

私がよく利用していた業者さんのものは、木の輪郭に合わせて布がきちんとカットされていて、

透かされている部分はネット状に作られていました。

 

このメリットはなにかと言いますと、木漏れ日のような照明を入れられることです。

すごくこだわって作っているんだなあという事がわかりますよね。

 

3.余裕のあるレンタル日程を組めているか。

これも基本的なことですが、舞台本番のときにあれば良いというわけではありません。

舞台で発表会を行うためには、本番日が日曜日だとしたら、

遅くとも金曜日から劇場をおさえないといけません。

 

金曜日に舞台、照明、音響のスタッフが舞台上で仕込み作業を行います。

そして土曜日丸一日かけてリハーサルを行います

 

逆に言うと、広さがちがう教室の練習スタジオでずっと練習してきた子供達が、

本番と同じ広さで練習できるのは、このリハーサルの1日だけということです。

この1日で、広さの感覚、登場から退場の動きの段取り、

照明や音響とのタイミングの練習などなど、たくさんの段取りを身体にたたきこむのですから、

すごいなあと思います。

 

このようにバレエ発表会のスケジュールはギリギリで動くため、
背景幕は遅くとも木曜日の夜には教室(もしくはスタッフさんの会社)に到着していないといけません

 

そして、発表会本番を終えて撤収をすると、夜遅くになることがあります。

そうするともう日曜日には発送できず、月曜発送になります。

 

つまり、バレエ発表会の背景幕は、ざっと1週間単位でレンタルする必要があるのですね。

 

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扱いは丁寧に!背景幕の広げ方と畳み方、梱包の仕方などをご紹介

さて、レンタルした背景幕が劇場に運ばれると、どんな感じで使うことになるのでしょう。

 

まず、背景幕がどのような状態で運ばれるかといいますと、

ブルーシートなどに包まれて梱包された巨大な土のう袋のような感じです(笑)

とても重たいので大きな台車に乗せて運びます。

 

大きなテント幕のような背景幕は、きれいに畳まれて、専用の大きな布袋に入っています。

その上から雨などで濡れないように大きなブルーシートでガチガチにくるまれてやってきます。

 

背景幕の広げ方

背景幕の広げ方は、というと、まずは、ガムテープをはがしてブルーシートを外します。

 

このブルーシートは、公演終了後また送り返すときに使用しますので、

きれいに保管しておきましょう

 

背景幕の吊るし方

数人がかりで布袋から幕を出したら、いよいよ舞台上に吊る作業です。

 

背景幕の一番上端には、等間隔で紐がついています。これを「ちち紐」と呼んでいます。

この「ちち紐」を舞台の美術バトンに結んで吊る、というアナログな設置方法です。

 

まず、吊るバトンの前、どまんなかに幕の塊を運びます。

そして、表裏を確認して、両サイドにパタンパタンと広げていきます。

 

舞台幕には共通の畳み方があり、その畳み方を守らないと、仕込むときにパタンパタンと

スムーズに広げることができなくなります

 

両サイドに広げた後は、まず幕のセンターと舞台のセンターを合わせます。

たいてい幕のセンターのちち紐は、

1本だけ紐の色が違うのですぐわかるようになっています。

 

センターのちち紐を結んだら、手分けして真ん中から外側にむかって紐を結んでいきます。

幕はまだ下半分は畳まれた状態のままですが、かまいません。

 

すべてのちち紐がしっかりと結ばれたことを確認したら、美術バトンを上昇させます。

この美術バトンは劇場の機構によりけりで電動の場合もありますし、

手動で引き綱をひいて上げる場合もあります。(かなり重たいんですよ)

 

上げるときはゆっくり少しずつ上げていきます。

すると、畳まれていた下半分が重みで少しずつパタンパタンと解かれていくというわけです

 

背景幕の一番下場は袋状に縫われています。

この袋状の中に細いパイプを入れて「重し」にします。

重さがないと幕がピンと伸びないうえに、空調でヒラヒラ揺れてしまうからです。

 

この、背景幕にパイプを入れる作業も力仕事です。

なんせ15m以上ある幕なのです。

だいたい3mぐらいずつ分割してあるパイプを片側から入れていき、1本入ったら2本目を連結して、

2本目が入ったら3本目を連結して、というふうに入れていきます。

 

袖幕やアーチ幕もだいたい仕込み方は同じです。

ただ、注意を払わないといけないのが、さきほど木漏れ日の演出ができるように、

布を輪郭でカットしてあって透かしてあるところにネットを貼ってある場合です。

 

きれいに広げないとこのネットがひっかかって簡単に布が破れてしまいますので、

最新の注意が必要です。

 

背景幕の片付け方(畳み方)

 

背景幕を片付けるときは、その場にいる照明などのスタッフさんもみんな集まって、

協力して6人~8人ぐらいでやることが多いです。

人数が多ければ多いほどキレイに畳めます。

 

まずは、美術バトンを下ろすために舞台上をきれいに片付けます。

舞台上がたいらでないといけないので、幕を畳む作業はたいてい一番最後になります。

バトンを下ろしてきたら、6人ぐらいが幕の下端を持って、

降下にあわせて少しずつ舞台前方向にひっぱっていきます。

こうやって幕を舞台全面に広げます。

 

バトンが下まで下りてきたら「ちち紐」をすべて外します。

空になったバトンは危ないのですぐに上げてしまいます

 

そして幕の四方に人がつき、ピンと伸ばします。

幕の下端側に等間隔に人がつきます。

その人たちは靴を脱いで幕の上にあがります。

 

掛け声をかけて息を合わせながら、幕の下端を上端まで持ってきます。

ずるずるとひきずるとシワがよるので、

幕を高く上げて中に空気をいれながら幕を2分の1に畳みます

私はこのときの帆船のように膨らむ幕の光景が大好きです。

 

2分の1に細長くなったらまた四方をひっぱって綺麗に伸ばします。

シワになっていたりよれていたりしたら修正します。

 

同じように、幕の上にあがって下端を上端に合わせる折り方で、4分の1、8分の1、と繰り返していきます。

だんだんと分厚く重たくなっていきます。

 

幕の幅が袋の1辺に入る長さになるまで細長くなったら、縦の折り畳みは終わりです。

 

次はセンターのちち紐の位置に1人つきます。

そして左側に2人、右側に2人つき、四方を持ちます。

片側ずつ別チームとなり、それぞれがセンターに向かって折り畳んでいきます。

縦のときと同じように、なるべく幕をひきずらずに高くあげながら、2分の1、4分の1、・・・と畳んでいきます。

 

必ずセンターに向かってです。

絶対に右端と左端を重ねたらいけないんです。

なぜかというと、幕を吊るときは、

センターに塊をドーンと置いて左右に開いて広げていきましたよね。

この広げ方をするためには、センターに向かってそれぞれ折り畳んでいく必要があるからなのです。

 

背景幕のしまい方と返送

最後まで畳み終わるころには、相当重たい幕の塊にしあがっています。

 

これを数人がかりで布袋に収納し、シートに包み、

隙間から水分などが入らないようにしっかりとテープで留めて、レンタル業者に発送となります。

 

ちなみに、この畳み方をしていない場合や、シワがよったまま畳んであった場合、

業者さんから厳重注意のお電話かかってくることがあります(笑)

お借りしたものは丁寧に畳んでお返ししましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はバレエの背景幕のレンタルをしている業者さんのお話、

それからそれらの舞台幕の仕込み方や畳み方など、

とってもとってもマニアックなお話でした。

 

バレエ教室に入っていても、発表会のときは、衣装の着替えやら楽屋の片付けやらで

舞台上でどのような仕込みや片付けが行われているか、なかなか見ることができません。

特に子供さんは危ないからと、舞台上に入れないことが多いですから、きっと知らないでしょう。

 

バレエの発表会の準備というのはけっこう大変で、

たくさんのスタッフの力を合わせて行っているんですね。

今度、バレエの舞台を観る機会があったら、

いままで気にしたことのなかった背景幕も、ちょっとだけ見てみてくださいね。

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