ステージで発表する習い事をはじめて最初の発表会のとき、
多くの子どもさんが面食らってしまうのが、舞台照明の暑さと眩しさです。
照明の下ってこんなに暑いの?!
眩しくて踊れない(泣)
眩しくて、どこの袖に退場していいかわからなくなった!
パニックにおちいる子どもさんも時々見かけます。
ピアノの発表会などでは、明るさにびっくりして、それからシーンとした雰囲気に呑まれて、
まず舞台上に出ていくことができない子供さんもけっこういらっしゃいます。
それに比べるとバレエなどの子供達は、曲がなれば舞台に出ていく、
反射みたいなものがあるようで、舞台上に出られない子は少ないですが、
出たは良いが帰って来れない子が一定数います(笑)
バレエやダンスなど舞台上で大きく動き回るパフォーマンスにとって、
まず照明に慣れるということが発表会の第一関門でもありますよね。
でも、安心してください。
照明は、舞台上のパフォーマーを美しく見せるためにやっていることですので、
コツや対策があります。
そこで今回は、
舞台の照明が眩しいときの対策と確認方法について詳しく解説していきます!
舞台の照明が眩しいときの対策 どの場面で眩しいのか照明スタッフに相談しよう!
舞台の照明がどうしても眩しくて踊れない場合、まずは「照明スタッフ」に相談してみましょう。
照明の角度を変えてもらうことができます。
では、具体的にどの照明を調整してもらったらいいか、具体例をあげていきましょう。
客席を向いたときに眩しい照明は「シーリングライト」
まず、客席を向いたときに眩しくてびっくりした、と言う子供さんのケースです。
客席に向いたときに眩しく感じる照明は、
客席の後方の上空から当てているシーリングライトという照明です。
ビデオ撮影や、写真撮影をしたときに、
顔が暗くかげにならないためにも必要不可欠な前方からのライトとなります。
つまり、舞台上にいる人の顔が一番明るく見えるための照明ですね。
袖にはけるとき(退場するとき)に眩しい照明は「サイドスポットライト」
そして、照明が眩しくて袖にはけられない(退場できない)、という子供さん。
これはサイドスポットライトという、横からの照明が原因です。
舞台は上からの照明だけでなく、両サイドから横向きにあてる照明があります。
これによって舞台上の人物をより立体的に躍動的にみせることができます。
このサイドスポットライトは吊ってあるのではなくて、
舞台の袖幕の後ろ側にスタンドを立てて置いてあるものです。
なるべく子供の身長を考えて、目線に入らない高さをねらって仕込んでありますが、
ライトに向かって退場することになるので、
ついつい光源を見てしまって目つぶしを食らい、
自分の場所がわからなくなってしまいがちなんです。
そしてたまに、このスタンドライトに向かって突進してきて、
ぶつかってしまう子供さんもいるので
スタッフもいろいろな工夫をしながら、危ない箇所は注意して見守っています。
これらもみんな、必ず一度は経験することなので、なにも心配はいりません。
何度か舞台上でリハーサルをしたり練習をしたりすることで慣れてきますし、
眩しくないようなコツもあるので、少しずつ練習していきましょう。
舞台照明が眩しくならないコツを紹介!お辞儀や退場時のアドバイス
次に、舞台上での照明が眩しくならないコツについて解説していきます。
舞台でお辞儀(レヴェランス)するときに眩しくならないコツ
バレエの発表会では、自分の曲が終わったら舞台の前のほうに出てきて、
レヴェランスというお辞儀をしてから舞台袖に退場しなければなりません。
舞台の前の方に出てきた時に、さきほどのシーリングライトが一層眩しく見えて、
くらくらっとしそうになります。
シーリングライトだけではなく、
フロントスポットというちょっと前方の横からも照らされているのがわかり、
どこを向いても眩しい、となりがちです。
客席を向いてレヴェランスするときは、光の光源を目に入れないようにするのがコツです。
ちょっと暗くなっている客席の
ちょうど真ん中の通路あたりを意識して見るようにしてみてください。
あまり前列のほうを見ると、下を向いているように見えてしまいますし、
舞台上の照明の明るさで前列はお客さんの顔が見えてしまうので、
(けっこうバッチリ見えます)逆に緊張してしまうかもしれません。
ですから、客席の真ん中の通路あたりを目線に固定してお辞儀をしてみてください。
そうすると、照明の光は感じるものの、
直接光源を見ないので、眩しくてくらくらすることもなくなりますよ。
舞台から退場(舞台袖にはける)ときに眩しくならないコツ
そして、舞台袖にはけるのは、何回か練習が必要ですよね。
左を向いても右を向いても、
いくつものライトが自分に向かっているから眩しくてこわくなってしまいますよね。
これも、コツは光源を直接見ないことです。
ライトに向かって走りこんでいくのはとても恐怖心が出てきますよね。
しかも先生は「はけるときはお顔を下げないで!」て言われませんか?
舞台からはけるときは、
「顔はしっかり上げたまま、目線はちょっと横」がポイントです。
目線を下げるとどうしても顔が下がってしまうので、下ではなくて横です。
理由はちゃんとあって、光源のすぐ横が自分が目指す袖中だからです。
上手にはける場合は、ライトのちょっと左側、
下手にはける場合はライトのちょっと右側が
自分が走り込む目標位置です。
自分のはける袖幕が何番目だったかなあって思うときには、
ライトの数を前から1,2,3とかぞえればOKです。
袖幕のすぐ後ろ側にサイドスポットライトは立っていますので、
2番目の袖にはける予定なら
前から2番目のライトの奥に向かって退場です。
そのままライトに突っ込んでいくとぶつかってしまって大変危険なので、
ライトのちょっと奥を狙って走り込んでくださいね。
スタンドの脚部分には、パフォーマーが足をひっかけないように、
注意喚起の小さな赤いライトなどを付けてあります。
袖が近くなったら、それも目に入ると思いますので、
それを目印にはける人もいます。
目線に加えて、自分なりのランドマークを決めて、
そこに向かってはける練習をすると良いです。
どうしても光源が目に入ってしまうという場合は、先生に相談してみましょう。
照明スタッフさんが、スタンドの高さを少し高くしてくれると思います。
舞台袖で出番を待つときの立ち位置「見切れ線」にも気をつけよう!
それから、お友達が踊っているのをついつい見たくて袖幕の近くに集まっていたら、
先生に「後ろにさがりなさーい」とか
「この白い線から前に出ません!」と言われているお子さんもたくさんいます。
確かに出番を待っているあいだ、舞台の他の踊りを見たいのはすごくよくわかるんです。
ついつい身を乗り出してしまいがちですが、
舞台袖にひいてある斜めの白線のルールはかならず守りましょう。
この白線は「見切れ線」といいます。
客席の一番前方の一番端っこに座っている人が、
反対側の袖の内側がいちばん見えてしまうのですが、
そこの席の人からここまでが見えてしまうよ、というラインが「見切れ線」です。
つまり、「見切れ線」を越えたら舞台上にいることと同じ、なんです。
お客様から見えてるよ、という線なのです。
わらわらと他のダンサーが野次馬している姿が客席から見えてしまったら、
お客さんはドン引きです。
近くで観たいかもしれませんが、
見切れ線の奥まで下がってお友達の演技を見るようにしましょう。
舞台の袖幕付近に立たないことは「退場する人の安全を守ること」
さらに舞台の袖幕周辺に立たない、というルールは、
退場してくる人の安全を守ることにもつながります。
先ほどもお話したように、
舞台袖にはけてくるときは、照明を受けているため眩しいのです。
舞台から暗い袖の中に戻ってくると、
ダンサーたちはしばらくの間全然まわりが見えません。
目が慣れるまでは人がいてもよく見えないわけです。
このため、出番待ちのダンサーたちが安易に袖幕の周辺でうろうろしていると、
舞台を終えて走り込んできた人とぶつかって非常に危ないのです。
特に何人も列になって走り込んでくる時は、
一人が止まってしまったりぶつかってしまったりすると、
後ろがみんなぶつかったり滞ってしまったりして大変危険です。
「見切れ線」はきちんと守ること。
袖幕周辺はなるべく人がいない状態を保つこと。
出番を待つときは、舞台袖の奥に下がって待つこと。
これは、バレエ教室内で徹底して注意喚起しておいてもらいたいことの1つでもあります。
舞台袖にアシスタントの先生が常についていればよいのですが、
自分の出番や着替えのフォローなどで席を離れていない場合があります。
教室での年長のお姉さんたちや、後援会のお母さんたちが注意することになりますが、
もちろんそれもいない場合は、舞台のスタッフが声かけすることになります。
私もリハーサル中よくこの「後ろにさがりましょうね~」の声かけをしていましたが、
子供たちも慣れない大人に注意されるよりも、お友達同士で声を掛け合う方がよいですし、
スタッフも他の仕事の合間におこなうことになります。
ぜひとも教室や保護者から徹底して声かけするか、
きちんと両方の袖に人員をつけてほしいなあと思うところでもあります。
まとめ
「照明が眩しい」とびっくりしてしまう子供さん達を見ると、
ついつい可愛いな~きっと初舞台なんだろうな~と微笑ましく思ってしまいます。
誰もがみんな通る道なんですね。
こういう子が、きっと2~3年後には、
自分より年少の子達をきちんと並ばせたり
「シーっっ!静かにして!」などと注意しているものです。
照明の眩しさに対処したりすることも、
緊張や不安を乗りきることも、ひとつひとつの経験が
子供達を大きく成長させるんだろうなあ、なんて感じています。
発表会をやりとげて、またひとつバレエが楽しくなるととても嬉しいです。