舞台「照明さん」の仕事と現場の1日。就職に必要な資格・進路まとめ | 【自分に向いている仕事】を見つける方法

舞台「照明さん」の仕事と現場の1日。就職に必要な資格・進路まとめ

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コンサート、演劇、ダンス、バレエ、オペラなど

舞台パフォーマンスに欠かせないのが舞台照明いによる演出効果ですよね。

とは言っても、そもそも舞台公演を観にいくときってパフォーマーを目当てに行くので

そもそも照明なんかスタッフワークを気にしたことがない、という人が大半ではないでしょうか。

 

今回は、パフォーマーをより魅力的にかっこよく魅せる舞台照明の仕事について、

どのような仕事内容なのか、公演当日の1日のスケジュール、

舞台照明の仕事に就職するための進路について、詳しくご紹介していきたいと思います。

 

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舞台照明の仕事は「オペレーター」と「デザイナー」

まず、舞台スタッフの1つである照明さんのお仕事は、

大きく分けて「オペレーター」と「デザイナー」の2つに分けられます。

 

照明さんのキャリアは「オペレーター」からスタートして、

腕を磨きながら「デザイナー」を目指すという方が大半です。

 

舞台照明の仕事 舞台現場の1日はこんな感じ!

照明さんの現場の様子をお話しましょう。

 

舞台当日の照明さんの仕事は、

  • 仕込み
  • データ打ち込み
  • フォーカス
  • 明かりづくり
  • リハーサル
  • 本番
  • 撤収 の順番で進みます。

 

これらの仕事の内容を、1日のスケジュールと合わせながらご紹介していきたいと思います。

 

舞台照明さんの仕事。公演当日のスケジュールと仕事内容をご紹介!

 

ここでは、とあるバレエ教室の発表会の現場をモデルにして、照明さんの一日を追っていきたいと思います。

 

公演当日の朝 機材搬入~準備

まず、本番前日の朝、ホールの搬入口に照明さんの機材車が着き、搬入が始まります。

多くのホールには、ホール所有の照明機材があり、それらを借りて使うことができます。

ただ、それだけでは足りない部分を、持ち込みの機材や持込の操作卓などで補います。

 

バレエの場合ですと、まず最初に床のバレエマット敷きの作業が先行して行われます。

照明さんは、舞台さんが床敷きの作業をしている間に、

搬入や仕込みのための機材の準備を行います。

 

公演当日の照明の仕事:照明機材の配置(仕込み作業)

 

「仕込み」作業は、デザイナーさんからの図面をもとにして、

図面の指示通りに照明機材を配置していく作業です。

現場では、広い舞台全体に照明を込むためにマンパワーが必要なため、

何人もの照明スタッフが協力しながら仕込み作業を行います

 

床敷きが終わると、照明の仕込みの時間になります。

照明機具を吊るサスペンションバトンを下まで降ろして、

手が届く高さにしての作業になります。

先に大道具の大きなセットが立て込まれてしまうと、

場所によってはもうサスペンションバトンを下ろせなくなるため、

舞台よりも先行して照明の仕込みが行われます。

 

仕込み図には、機材の種類、位置情報、色ネタの番号や、

信号線のアドレス番号など細かい情報がたくさん書かれていて、

目が痛くなるような図面のこともしばしばあります

 

正しい機材を正しい位置に吊るだけではなく、

そのあとにすべての照明の情報を調整卓に送り、

コンピューター制御するために必要な配線だったり、

アドレスの設定なども正しく行う必要があるのです。

照明さんが舞台上の仕込みをおおかた終えると、舞台上は大道具の仕込みにうつります

 

公演当日の照明の仕事:データ打ち込み

 

大道具の仕込み中、照明さんは軽く休憩をとり、

その間に調整卓で「データ打ち込み」という作業を行います。

仕込みで信号線が全部つながって、

情報がすべて照明卓に送られるようになりました

その機材一体一体を調整卓でコントロールできるようにするために、

データの打ち込みを行うのです。

 

データの「打ち込み」が終わると、

すべての機材のオンオフが手元の照明卓でできるようになるので、

次の「フォーカス」という作業にうつることができます。

 

公演当日の照明の仕事:フォーカス作業

 

「フォーカス」という作業ができるようになるためには、

すべての大道具類が仕込み終わっていなければなりません。

それから、「タッパ決め」という作業が終了している必要があります。

舞台セットの高さに合わせて、照明のサスペンションバトンの高さを決めるのです。

簡単にいうと、額縁の高さを決めていく作業になります。

 

一度高さを決めてしまったら、

その高さが変わらないように舞台機構操作盤で高さを記憶させます

なぜかというと、次のフォーカスという作業で、

照明1台1台の向きを合わせてピントを合わせる作業を行うからです。

高さが変わってしまうと、照射する角度が変わってピントが合わなくなるためです。

 

「フォーカス」作業には、

通称「竿」(正式には介錯棒)とよばれるめちゃくちゃ長い棒を使って行う場合と、

人が乗り込める足場がくっついているサスペンションバトンなら、

ヘルメットをかぶって高所作業する場合があります。

 

足場が併設したサスペンションバトンのことを「ブリッジ」と呼んでいます。

ブリッジに乗り込んで作業する場合は、直接機材を動かせるのですが、

「竿」を使って作業する場合は、熟練した技術が必要です。

最初のころは、思うように竿をたてることさえできませんし、

バランスよく持つことも難しいのです。

ベテランになれば、「竿」の方が楽のようで、

デザイナーの指示どおりにはるか上にある機材の角度を

ちょちょいと自由に動かせるようになります

 

この作業は何十台ときに何百台と仕込んだ機材一つひとつに手をつけていく根気のいる作業で、

みんなで協力しながら行います。

また、バレエの場合はダンサーの立ち位置とも関係してくるので、

一つひとつ確認を怠らないようにしなければなりません。

 

公演当日の照明の仕事:明かりづくり

 

「フォーカス」が終わると、デザイナーさんは「明かりづくり」という作業に入ります。

すでに演目が数回行われていて、ツアーをするような場合ですと、

今までのデータを記憶保存してあるため「明かりづくり」は必要ありません。

 

しかし、発表会や新作ものは、ひとつひとつ場面ごとに、

何番と何番と何番の機材を何パーセントの割合で点けてどんな雰囲気の照明にするのか、

というシーンを組んでいくのです。

 

本来なら、リハーサルが始まる時点で、

すべてのシーンの明かりづくりが終わっていることが理想ですが、

現実では間に合っていないことが多く、

リハーサルをしながらシーンを作っていくということが多々あります。

 

公演当日の照明の仕事:リハーサル(担当の持ち場に移動)

 

「リハーサル」はたいてい夕方からようやく始められるようになります。

 

リハーサルのときには、オペレーター以外の照明スタッフは、

センターピンスポットなど担当の持ち場に移動します。

センターピンスポットとは、手動で動かす照明で、

パドドゥの時に主役を明るくしたり動きに合わせてダンサーを追っていく照明です。

客席2階席のさらに後方上空にピンルームがあり、そこで操作します。

 

舞台上のダンサーは豆粒のようにしか見えません。

その状態で的確に照明をあてていく、

こちらも熟練の技が必要になる仕事です

 

リハーサルでは、ダンサーも一つひとつの段取りを丁寧に確認していく作業になります。

それに合わせて照明さんも、立ち位置がずれていればフォーカスをし直します。

演出振り付けの先生から

「やっぱりそうじゃなくて、このタイミングでこっちにあててください。」

などのオーダーがあれば、都度都度シーンを修正していきます。

 

通常「リハーサル」は本番の3倍の時間がかかるといわれています。

ホールの退館時間(たいてい22時です)ぎりぎりまで、リハーサルが続けられ、

その日は終了となります。

 

もし、最後までリハーサルができなかった場合は、翌日の午前中に持ち越されます。

発表会の本番の時間が、例えば16時スタートだったとします。

そうすると、12時ごろには「ゲネプロ」といって

本番通りに止めずに流す予行練習を始めなければなりません。

ダンサーさんもスタッフさんもスケジュールはカツカツなのです。

 

また、教室によっては、前々日からホールを借りてくれて、

丸一日はダンサーが入らず、

舞台照明音響スタッフだけの作業日にあててくれる教室もけっこうあります。

 

その場合は、余裕をもって前日朝からリハーサルをはじめ、

まる一日リハーサルをして、当日の午前中に「ゲネプロ」をして、

午後に「本番」というスケジュールになります。

照明さんは劇場入りしたら、朝9時から夜22時まで劇場に缶詰状態のお仕事なんですね。

 

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舞台照明の仕事に就くための3つの進路。専門学校・大学・アルバイト

では、もし舞台照明のお仕事に就きたいな、と思った場合は、

どのような進路をとればいいのでしょうか。

勉強するための学校や大学には、どのようなところがあるのでしょうか。

 

これに関しては、一概にこういうルートで照明さんになった方がいい、

というのは特にありません。

いろいろなアプローチの仕方があるからです。

ここでは、3つの進路をご紹介します。

 

舞台照明の仕事に就職する進路1:専門学校

 

もし舞台照明が学びたいと思ったら、3つの選択肢があります。

1番多いのが専門学校です。

 

実際にわたしのまわりでよく聞かれるのが、

「日本工学院専門学校」「ビジュアルアーツ」「ESPエンタテイメント」などでしょうか。

 

専門学校は実際に学校で大きな劇場を持っていたりするので、

いつでも実践に即した授業が受けられるのが大きな強みです

 

舞台照明の仕事に就職する進路2:大学の専攻科

 

2つ目は、大学の専攻科という選択肢です。

大学ではアカデミックな理論から学ぶことができるのが特徴ですが、

実際に活躍している現場のデザイナーが講師で教えていたりすることも多いです。

 

舞台照明について学べる大学は、そんなに多くはないですが、

昔よりもはるかに多くなっています。

例をあげると、

「桜美林大学」「武蔵野美術大学」「多摩美術大学」「大阪芸術大学」「日本大学芸術学部」「玉川大学」

などに、専攻科があります。

 

舞台照明の仕事に就職する進路3:現場アルバイトで下積みする

 

3つ目は、小さな現場のアルバイトから初めて仕事を覚える、という選択肢です。

地方の照明会社や人手が足りていない現場などではあり得る話です。

実際に未経験から初めて社員になった子もいますし、

大学生だと専攻科の友人のつてで未経験でもアルバイトができたりします

 

昔は、「照明を覚えたいです。仕込みに手伝いに行ってもいいですか。」

の一言で現場に出れて、ノウハウを覚えられて、お弁当までいただいて、

しかも本番までタダで観れる、

というお得なタダ働きをしている友人がたくさんいたものです。

 

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舞台照明の仕事で使える資格。技能認定資格と第二種電気工事士

それから、

「照明さんになるには何か特別な資格が必要ですか?」

と聞かれることも多いですが、

この資格を持ってないとなれない、という資格はありません

 

ただ、公益社団法人日本照明家協会が設けている「技能認定資格」というものがあります。

技能認定資格には2級と1級があります。

筆者は、照明さんではありませんでしたが、2級は持っています。

というぐらい難しくない技能認定資格ですが、1級はとても難しいそうです。

 

それから、舞台照明は大量の電気を扱う職種ですので、

「第二種電気工事士」は持っていると損しません

たとえば、屋外での公演などで仮設電源をとらないといけない、といった場合は、

電気工事士でないと配線ができないのです。

 

余談ですが、舞台で使われている照明器具を、試しに家庭で点けたらどうなると思いますか?

 

答えは「3つつけただけでブレーカーが落ちる」です。

そこ?そこなの?(笑)

という答えだったかもしれませんね。

 

コンサートに行っておびただしい数の照明がチカチカしている光景は当たり前ですが、

実はものすごい電力を消費していたんですね。

もちろん現在はLEDライトを使った消費電力の少ない舞台照明もたくさん導入されていますが、

それでも家庭の消費電力とはけた違いの電力を消費するんです、舞台って。

 

このように、舞台照明の仕事は大量の電力と配線を扱うため、

感電等の危険を回避し安全に作業を進めるためにも、

電気工事士免許の資格をもっている人が多いのです。

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吹奏楽部の定期演奏会で、舞台照明の仕事に憧れる子も多い!

ちなみに、照明スタッフの仕事に一番興味を持ってきてくれる子は、

「吹奏楽部」の子が多かったです。

 

なぜなら、吹奏楽部の生徒たちは、定期演奏会を舞台で行うため、

舞台の裏方の仕事を目の当たりにしているから。

 

吹奏楽の定期演奏会の打ち合わせでは、

「この曲はこの部分でこのような照明の演出をつけてください。」

など照明担当と打合せをするという経験をしていることもあります。

慣れている子は、めちゃくちゃオーダーが細かいんですよ(笑)

 

筆者は、中高生の職場体験などでホールに研修に来た生徒たちの対応をしてきましたが、

今では、地方のホールでも、小学生、中高生向けに

舞台の裏方のお仕事が体験できるワークショップが数多く開催されています。

もし、舞台スタッフの仕事に興味を持っているなら、

舞台裏方のワークショップも是非参加してみてくださいね

 

まとめ

 

舞台照明の仕事は、「オペレーター」と「デザイナー」の2つに分かれます。

舞台当日は、仕込みから始まり、データ打ち込み、フォーカス、

明かりづくり、リハーサル、本番、撤収と進みます。

 

就職の進路は専門学校、大学の専攻科、現場アルバイトがあり、

特に必須の資格はありませんが、技能認定資格や第二種電気工事士が役立ちます

 

舞台照明に興味を持つ若者は、吹奏楽部出身の子が多い印象です。

地方のホールでも、ワークショップで舞台裏の仕事に触れる機会が増えています

憧れの照明スタッフの仕事に一歩近づいてみてくださいね!

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