仕事を辞めたいのに昇進してしまった場合、
- このまま頑張る
- 役職を降りる
- 管理職で退職する
3つのパターンを検討できます。
一般的に、仕事での昇進や管理職への就任は多くの人が目指すキャリアです。しかし、役職を持つことが人生における満足や充実をもたらすとは限りません。
特に、いわゆる「名ばかり管理職」の場合、役職に就いたことで義務や負担ばかりが増える一方で、残業代カットで給料が減ったりもします。
「とてもじゃないけど、今の会社で管理職なんかやってられない」そう感じるのも無理もないケースが少なからず見受けられます。
ここでは、役職を降りる場合のメリットとデメリットと降格願いの書き方、管理職で退職したい時の理由や伝え方をまとめます。
望まない昇進を断る・役職を辞退する(希望降格)のメリットデメリット
望まない昇進を断ることや役職を辞退することは、あなたにとっても会社にとっても重要な決断を必要とします。管理職を辞めるメリットとデメリットを見てみましょう。
望まない昇進を断る・役職を辞退するメリット
1. ストレスの軽減: 管理職は責任が重くストレスも大きいものです。役職を辞退すれば責任やプレッシャーを回避できます。これにより、仕事に対するストレスが軽減されるかもしれません。
2. ワーク・ライフ・バランスの維持: 役職を担うと仕事の負荷や業務量、ストレスが増える傾向にあります。役職を降りることで、自分の趣味や家族と過ごすための時間やエネルギーを保て、プライベートを充実させやすくなります。
3. 専門や現場に集中できる: 管理職の仕事は、専門的な業務よりもリーダーシップや組織の課題に時間を費やすことが多いです。部下のサポートや管理業務ではなく、現場で業務に集中したり、営業でバリバリ働く方が性に合う人もいます。役職を辞退し平社員に戻ることで、本来の専門性や興味に集中できる機会が増えます。人によっては、自分の強みや得意分野にフォーカスしやすくなります。
望まない昇進を断る・役職を辞退するデメリット
1. キャリアの停滞: 役職を辞退すると、昇進やキャリアの成長が一時的に停滞します。転職をした先での昇進機会にも影響を及ぼすことがあるかもしれません。
2. 給与や報酬の減少: 一般的に、役職に伴って支給される給与やボーナスが減少することがあります。ただし、実質「役職手当<残業代」になってしまう名ばかり管理職であれば、平社員に戻る方が得ということもあります。
3. 社内の評価の変化: 役職を辞退することで、社内での評価が変化する可能性があります。今後のプロジェクトやチームでの評価に影響を与えることがあります。
降格して良かったこと3選も読まれています。
昨今は、管理職をやりたがらない若者や女性、昇進を拒否するケースも増えていますが、役職を降りるかどうかは、個人の価値観や将来のビジョンによって異なります。
自分のキャリアゴールや幸福度、そして仕事とプライベートのバランスを考慮して、慎重に決断することが重要です。
役職を降りる言い方と降格願いの書き方。能力不足・メンタル・体調不良
役職を降りる際の言い方や降格願いの表現には、様々な要因が存在します。能力不足、メンタル面の負担、または体調不良など、それぞれの理由に応じて適切な表現を使いましょう。
役職を降りる言い方
役職を降りる際には、適切な言葉遣いと明確なコミュニケーションが重要です。以下は、役職を降りたい状況で使える言い方の一例です。
- 能力不足を理由にする場合:
- 「私のスキルや経験が、現在の役職に十分に対応できていないと感じています。」
- メンタルヘルスを理由にする場合:
- 「精神的な問題やメンタル面で、役職を遂行することが難しい状況にあります。」
- 体調不良を理由にする場合:
- 「体調が万全ではなく、役職の期待に応えることが難しい状況です。」
降格願いの書き方
降格を願い出る際には、丁寧で率直な表現を心がけましょう。以下は、降格願いを書く際の一例です。
[日付]
[上司や人事担当者の名前]
件名:役職降格願いの申し出
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。
この度、率直な気持ちをお伝えしたく存じます。最近、[能力不足/メンタルヘルスの課題/体調不良]により、現在の役職を適切に果たすことが難しい状況にあります。周囲に迷惑をかけず、また組織のスムーズな運営を妨げないよう、自らの判断で役職を降りることを考えました。
組織における貢献を維持するため、私は[現在のポジションや専門性にフォーカスしたい/リカバリーを図りたい/仕事に集中したい]と考えております。降格による変動については、柔軟に対応し、新しい役割においても全力を尽くす所存です。
今後とも組織の一員として、貢献できるよう努めてまいります。ご理解とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
[あなたの名前]
(上記の文書は参考例です。実際の状況や職場の文化に合わせて、適切な表現や内容に調整してください。)
管理職に昇進後に退職をする6つのデメリット
次に、管理職に昇進後すぐに仕事を辞めることのデメリットを解説します。
1.責任感や実力の欠如:管理職に昇進した後にすぐに退職することは、責任感の欠如とみなされる可能性があります。管理職のポジションは、組織やチームに対する指導力や責任を伴います。同僚や部下、上司があなたに期待している中での急な退職により、信頼関係を損ねることが考えられます。
2.実力や経験の不足: 昇進は組織があなたに対して期待している信頼やコミットメントの表れです。急な辞職は、実力や経験が不足しその期待に応えられなかったと捉えられることがあります。
3.後任者への負担: 急な辞職は、後任者やチームに追加の負担をかけることがあります。新しい管理職がすぐに見つからない場合、業務の遅れや混乱が生じる可能性があります。
4.組織への影響: 管理職は通常、組織内で特別なポジションにあり、組織に対する影響力が大きいです。急な辞職は組織の運営やプロジェクトに対し大きな負担を負わせる可能性があります。また、企業は従業員のトレーニングや人材育成に時間やリソースを費やしているため、昇進直後に退職することは、組織にとって損失と見なされることがあります。
5.経済的な影響: 転職先での新しいポジションや雇用契約の条件によって、収入源や福利厚生が欠けるなど、処遇が下がる可能性があります。
6.転職先にマイナスの印象を与える懸念:管理職のポジションから急な退職・転職を行うと、職務経歴において短期間の在任が目立ちます。管理職に不適任な人材なのか職務においてトラブルが起きたのか等、採用面接官が懸念する材料となる可能性があります。
以上が、管理職に昇進後に退職をするデメリットですが、個々の状況によって状況は変わります。例えば、健康上の理由や家庭の事情などがある場合、それを適切に説明できれば理解されることもあります。
現在の会社に残るにしろ転職をするにしろ、最終的には、周囲と丁寧にコミュニケーションをとりつつ、お互いの状況を理解することが重要です。
管理職は残業代がつかないとは限らない。管理職をやりたくない人も増加
一般的に大企業では、昇進には試験や実績、面接などの関門が設けられており、簡単には昇進できない構造となっていますが、その逆に、試験や選考プロセスなしで勝手に昇進することがあります。
30代40代の若い従業員を管理職に抜擢するケースで見受けられるのが、係長や課長、店長などの「中間管理職」に対して、定額の役付手当を支払うのと引き換えに、残業代を支払わない取り決めをする企業です。
会社の扱いが不当ならば、管理職を辞めたくなって当然です。
一般の社員と、給料も待遇もほぼ変わらないのに、管理職扱いされているケースが典型です。管理監督者(労働基準法41条2号)に該当すれば、残業代は払われません。
しかし、管理監督者の実態がないのに、管理職扱いして残業代を払わないのは違法。
このような違法な扱いを、法律用語で「名ばかり管理職」といいます。違法に権利を侵害された状態なら、管理職を辞めたいと決断する人が多いのは必然です。
この場合は、正式な手順を踏むことで、管理職であっても残業代を請求できる可能性があります。
しかし、若手を管理職に昇進させる目的が単に企業側の利益追求のためであれば、そのような会社に長く居続ける必要はないでしょう。
管理職で退職したい時の理由と伝え方。何ヶ月前までに伝えるべき?
管理職も労働者であり、退職する自由や権利があります。管理職で退職を申し出る際は、適切な理由とその伝え方が重要です。また、適切なタイミングで告知することも重要です。
管理職で退職する理由は「一身上の都合により」
退職を申し出る際に、管理職で退職する理由を詳細を伝える必要はありません。「退職を考えている」「退職願」など曖昧な言葉を使うと、会社や上司から引き止めされ退職・転職することが難しくなります。
引き止めを避けるには、退職届を作成し内容証明郵便で送るのが確実です。
「一身上の都合により、勝手ながらXX年XX月XX日をもって退職いたします。」
など、退職届のテンプレートに則って書面を作成し内容証明で郵送しましょう。
管理職で退職することを伝えるタイミング
退職を伝えるタイミングは、職場の状況や自身の役割によって異なりますが、通常は引き継ぎに十分な時間を確保することで円満に退職しやすくなります。
- 通常の期間:
法律上は2週間前の告知で退職できますが、円満退職するには、2〜3ヶ月前に退職の意向を伝えることが推奨されます。これにより、組織は後任の決定や適切な引継ぎプロセスを行う時間が確保されます。 - 特殊な状況:
ただし、組織の規模や役割の重要度によっては、もう少し長い期間が必要な場合もあります。特に大規模なプロジェクトを担当している場合などは、退職の意向をより早く伝える方が良いでしょう。
(上記のアドバイスは一般的な指針です。具体的な状況に合わせて調整することが重要です。)
以上のように、退職届で客観的証拠を残し、十分な時間を持って引き継ぎを行うことで円満に辞めることができます。
しかし、勤め先がブラック企業で常に人手不足など、管理職であるあなたが辞めたら仕事が回らなくなるヤバい職場であれば、正式な手順を踏んでも退職できない状況が待っているかもしれません。
特に、メンタルや体調面で不調を抱えている場合は、退職代行サービスの利用も検討すると良いでしょう。